リガメント法ではなく、なぜSMAS法なのか|フェイスリフトで私が重視していること

ころ、栄養療法の記事に偏っておりましたが、今回はフェイスリフトについて、少し踏み込んで書いてみたいと思います。

フェイスリフトを調べている方は、「SMAS法」と「リガメント法」という言葉を一度は目にしたことがあるかもしれません。

中には、

「リガメント法の方が効果が高いのではないか」
「SMAS法は古い方法なのではないか」
「ほうれい線にはSMAS法では弱いのではないか」

と感じている方もいると思います。

そのうえで、私は現在もSMAS法を基本にフェイスリフトを行っています。

理由は、SMAS法がすべての点で万能だからではありません。
効果、安全性、手術時間、ダウンタイム、そして将来もう一度リフトを考える可能性まで含めたとき、私にとってはSMAS法がもっともバランスのよい選択肢だと考えているからです。

正直に言えば、SMAS法にも限界はあります。
特に、ほうれい線や中顔面のこけ感のように、骨格や脂肪のボリュームロスが関係する変化は、引き上げだけでは十分に整わないことがあります。

この記事では、SMAS法のデメリットも隠さずにお伝えしたうえで、リガメント法との違い、そして私がなぜSMAS法を選んでいるのかをお話しします。

まず、この記事でいう「リガメント法」について

最初に、言葉の整理をしておきます。

フェイスリフトの情報を調べていると、「リガメント法」「靭帯処理」「deep plane法」など、いくつかの言葉が出てきます。

医学的には、これらはまったく同じ意味ではありません。
ただ、患者さん向けの説明では、「リガメント法」という言葉が、リガメントを広く処理する深い層のフェイスリフト全般を指すように使われていることがあります。

この記事でも、分かりやすさを優先し、ここでは便宜上、リガメントを広く処理するdeep plane系のフェイスリフトを「リガメント法」と呼びます。

厳密な術式名の違いを細かく説明することよりも、この記事では、

という点を中心にお話しします。

そもそもSMAS法とは何か

SMAS(スマス)とは、Superficial Muscular Aponeurotic Systemの略です。
日本語では、表在性筋腱膜と呼ばれることがあります。

顔のたるみは、皮膚だけでなく、脂肪、靭帯、骨格、SMASなど複数の層の変化によって起こります。その中でもSMASは、フェイスリフトで重要になる支持組織のひとつです。

昔のフェイスリフトは、皮膚を引っ張ることが中心でした。
しかし皮膚だけを引き上げる方法では、仕上がりや持続に限界が出やすいため、現在のフェイスリフトではSMASをどう扱うかが重要になります。

SMAS法では、皮膚だけでなく、その下にあるSMASを引き上げ、余った皮膚を無理なく整えます。
皮膚だけに強いテンションをかけないため、傷跡や仕上がりの不自然さを抑えながら、たるみの原因となる深い層にもアプローチできます。

私がSMAS法を基本にしているのは、この「効果と安全性のバランス」を重視しているからです。

SMAS法にもデメリットはあります

SMAS法は、フェイスリフトの中でも非常に有用な術式だと考えています。
ただし、デメリットのない万能な方法ではありません。

むしろ、ここを正直に理解しておくことが大切です。

1. ほうれい線への効果は、術式だけで決まりません

「SMAS法はほうれい線に弱い」と言われることがあります。
リガメント法をすすめるクリニックでは、特に強調されやすい点だと思います。

たしかに、リガメントを広く処理する術式では、術直後に中顔面やほうれい線周囲が強く引き上がったように見えることがあります。

ただ、私の見解は少し異なります。

ほうれい線が目立つ原因は、単に皮膚やSMASが下がることだけではありません。
加齢により、上顎骨をはじめとする骨格の支えが少しずつ変化し、深い脂肪や皮下脂肪のボリュームも減っていきます。

つまり、ほうれい線には「下がる変化」と「支えが減る変化」の両方が関係しています。

そのため、どれだけ引き上げても、内側のボリュームが足りない場合には、ほうれい線が残ることがあります。
これはSMAS法に限った弱点というより、フェイスリフトという引き上げ手術全般に共通する限界です。

私はこの点について、ヒアルロン酸リフトを組み合わせることも選択肢のひとつだと考えています。

引き上げだけでは整いにくい部分に対して、足りなくなったボリュームを補い、自然な支えを加える。
SMAS法と注入治療を組み合わせることで、無理に深い層を大きく剥離しなくても、より自然な若返りを目指せることがあります。

もちろん、すべての方にヒアルロン酸が必要という意味ではありません。
骨格、脂肪のつき方、たるみ方を診察したうえで判断します。

2. 切開を伴うため、ダウンタイムがあります

SMAS法に限らず、切開を伴うフェイスリフトにはダウンタイムがあります。

術後は腫れ、むくみ、内出血が出ます。
抜糸は術後7日目を目安に行いますが、腫れやむくみはその後も少しずつ落ち着いていきます。

少なくとも2週間程度は、人前に出る予定を入れにくい期間として考えておいた方がよいと思います。

ただし、深い層を広範囲に剥離する術式と比べると、SMAS法はダウンタイムの見通しが立てやすいと私は考えています。
手術範囲、剥離の深さ、操作する組織が増えるほど、腫れや回復期間は大きくなりやすいからです。

患者さんにとって、どれくらいで仕事や日常生活に戻れそうかを予測しやすいことは、決して小さなメリットではありません。

3. 医師の技術差が出やすい

SMAS法は、名前だけ聞くとシンプルな術式に見えるかもしれません。
しかし実際には、術者の経験と判断が仕上がりに大きく影響します。

どの方向にSMASを引き上げるのか。
皮膚をどれくらい切除するのか。
どこにテンションをかけ、どこにはかけないのか。
耳周りの傷をどう縫合するのか。

これらの判断が、自然な仕上がりや傷跡の目立ちにくさにつながります。

引き上げすぎると、顔が横に張ったように見えたり、つり上がった印象になったりします。
逆に慎重になりすぎると、せっかく手術をしても変化が弱くなります。

フェイスリフトは、「強く引っ張ればよい」という手術ではありません。
どこを、どの方向に、どれくらい動かすか。
この調整にこそ、術者の経験が出ると考えています。

4. 費用がかかります

切開フェイスリフトは、糸リフトやHIFUなどの切らない施術と比べると、費用が高くなります。

手術時間、麻酔、縫合、術後管理などを含め、簡単な施術ではありません。
そのため、費用だけで比較するのではなく、その金額でどのような手術が行われるのか、どこまで説明してくれるのか、術後の経過まできちんと見てくれるのかを確認することが大切です。

ほうれい線には、リガメント処理よりヒアルロン酸リフトを組み合わせるという考え方

ほうれい線や中顔面のたるみは、単純に「下がったものを上げる」だけで解決できるとは限りません。

加齢によって、骨格の支えが弱くなり、深部脂肪や皮下脂肪のボリュームも減っていきます。
その結果、皮膚やSMASを引き上げても、内側の支えが足りない部分には影が残ることがあります。

私は、ここを無理にリガメント処理で引き上げようとするよりも、SMAS法でたるみを整えたうえで、必要に応じてヒアルロン酸リフトで内側の支えを補う方が、自然で安全性のバランスも取りやすいと考えています。

もちろん、すべての方にヒアルロン酸が必要なわけではありません。
骨格、脂肪の減り方、たるみ方、ほうれい線の深さを診察したうえで判断します。

ただ、ほうれい線を「術式の引き上げ力」だけで考えると、かえって不自然な引き上がりや、深い層への過剰な操作につながることがあります。

フェイスリフトは、下がった組織を上げる手術です。
一方でヒアルロン酸リフトは、失われた支えを補う治療です。

この2つを分けて考えることが、私は自然な若返りには大切だと思っています。

では、なぜリガメント法ではなくSMAS法なのか

リガメント法、つまりリガメントを広く処理するdeep plane系のフェイスリフトには、強い引き上げ感が出やすいという利点があります。

特に術直後の変化としては、頬やほうれい線周囲がしっかり上がったように見えることがあります。
そのため、写真映えしやすい術式だと感じる方もいるかもしれません。

ただし、フェイスリフトは術直後の写真だけで評価する手術ではありません。

私が重視しているのは、

という点です。

深い層を扱うほど、リスクも増えます

リガメントを広く処理する術式では、SMASよりさらに深い層に操作が及びます。
その周囲には顔面神経の枝が走っています。

もちろん、経験豊富な医師が適切に行えば、リガメント法が必ず危険というわけではありません。
ただ、深い層を広く剥離する以上、神経損傷や腫れ、回復期間については慎重に考える必要があります。

フェイスリフトは、美容の手術であると同時に、顔の機能に関わる手術でもあります。
私は、効果を追求することと同じくらい、リスクを増やしすぎないことを重視しています。

78例の報告から考えられること

deep plane法に関しては、78例を対象に術後経過を検討した報告があります。
この報告では、術後6〜12ヶ月の時点で、ほうれい線、ジョール、マリオネットライン、頸部などの早期再発が確認されたとされています。

もちろん、この報告だけで術式の優劣を決めることはできません。
術者、患者さんの状態、評価方法、追跡期間によって結果は変わります。

ただ少なくとも、「リガメントを広く処理する術式だから、長期的にも必ず優れている」と単純には言えないことを示す材料のひとつだと私は考えています。

その理由についてはさまざまな解釈がありますが、私は、リガメントを広く処理することで本来の支持構造との関係が変わり、症例によっては長期的な安定性に影響する可能性があると考えています。

文献引用:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12176001

再手術のしやすさも、私は重視しています

フェイスリフトは、一度受けたら一生何もしなくてよい手術ではありません。
加齢はその後も進みます。

10年、15年と経ったあとに、もう一度リフトを検討する方もいます。
そのとき、初回手術でどの層をどれくらい剥離したかは、再手術の難易度に関わります。

深い層を広く剥離すると、組織に線維化が起こります。
線維化とは、手術した部分の組織が硬く癒着するような変化です。

線維化が強いと、再手術の際に本来の組織の境界が分かりにくくなります。
顔面神経の走行を見極めるうえでも、初回より慎重な操作が必要になります。

SMAS法後の再リフトも、もちろん初回より簡単ではありません。
ただ、深部への操作が比較的限定されるため、将来の選択肢を残しやすいと私は考えています。

SMAS法とリガメント法の違い

以下は、患者さん向けに分かりやすく整理した目安です。
実際の術式や適応は、医師の考え方や患者さんの状態によって変わります。

比較項目SMAS法リガメント法(deep plane系)
主に扱う層皮膚とSMASSMASより深い層、リガメント周囲まで
フェイスラインへの効果期待できる期待できる
ほうれい線への効果ボリュームロスが強い場合は限界がある術直後は変化が出やすいことがある
ダウンタイム比較的見通しを立てやすい深い剥離により長引くことがある
顔面神経への配慮深部操作が比較的少ないより深い層を扱うため慎重な操作が必要
手術時間・麻酔負担比較的短くしやすい長くなりやすい
再リフト比較的対応しやすいと考える線維化により難しくなる可能性がある

どちらが絶対に優れている、という話ではありません。

リガメント法が合う方もいます。
一方で、SMAS法の方が適している方もいます。

大切なのは、流行している術式かどうかではなく、何を重視して手術を選ぶかです。

私は、効果だけでなく、安全性、ダウンタイム、手術時間、そして将来の再手術まで含めて考えるため、SMAS法を基本にしています。

私が自分で受けるなら、SMAS法を選びます

少し率直に言います。

私が自分でフェイスリフトを受けるなら、SMAS法を選びます。

理由は3つあります。

1. 効果と安全性のバランスがよいから

フェイスリフトで大切なのは、しっかり変化を出すことです。
しかし、それ以上に大切なのは、不必要にリスクを増やさないことだと考えています。

顔面神経麻痺などの合併症は、患者さんの生活に大きく関わります。
私は、深い層へ必要以上に踏み込みすぎず、それでいて十分なリフト効果を目指せるSMAS法を、現実的でバランスのよい方法だと考えています。

2. 手術時間が短く、身体への負担を抑えやすいから

当院のフルフェイスリフトは、目安として2〜2.5時間程度で行います。

手術時間が短いということは、麻酔時間も短くなります。
麻酔時間が長くなれば、その分、身体への負担や術後の疲労感も大きくなりやすいと考えられます。

特に40代後半以降の方にとって、手術時間や麻酔時間は軽く見てよい要素ではありません。

短ければよいという単純な話ではありませんが、必要な効果を出しながら、できるだけ負担を抑える。
その意味でも、私はSMAS法を重視しています。

3. ダウンタイムの見通しが立てやすいから

フェイスリフトを受ける方の多くは、仕事、家庭、人付き合いがあります。

「どれくらい休めばよいのか」
「いつから人に会えるのか」
「腫れはどのくらい続くのか」

これは、患者さんにとって非常に大きな問題です。

SMAS法は、深部を広く剥離する術式に比べて、腫れや回復の見通しを立てやすいと私は感じています。

2週間程度は大きな予定を入れず、その後少しずつ日常に戻っていく。
そのような現実的なスケジュールを組みやすいことは、患者さんにとって大きな安心材料になります。

フェアクリニックのSMAS法フェイスリフトについて

当院のフェイスリフトは、SMAS法を基本にしています。

特に重視しているのは、引き上げる方向と縫合です。

皮膚の内側の真皮を丁寧に縫合し、表皮は髪の毛よりも細い極細の糸で縫合します。
皮膚に余計なテンションがかからないように整えることで、傷跡ができるだけ目立ちにくくなるよう配慮しています。

また、切開する皮膚の幅や長さは、術前に状態を見ながらデザインします。
「しっかり引き上げること」と「不自然に見せないこと」は、どちらも大切です。

フェイスリフトは、若い顔を作る手術ではありません。
その方らしさを残しながら、たるみによって疲れて見える印象や、フェイスラインの崩れを整える手術だと私は考えています。

実際の症例を供覧します。
この方は、頬の脂肪吸引も併用しています。

左が術前、右が術後半年です。

※症例写真を掲載
※効果には個人差があります。
※腫れ、内出血、感染、血腫、左右差、傷跡、知覚鈍麻、顔面神経麻痺などのリスクがあります。

当院のフェイスリフトメニューや料金については、以下のページでご確認ください。

フェアクリニック フェイスリフト料金・メニュー

まとめ

フェイスリフトには、SMAS法、リガメント法、deep plane法など、いくつかの考え方があります。

リガメント法が悪いという話ではありません。
深い層を広く処理することで、強い変化を期待できる場面もあります。

ただし、フェイスリフトは術直後の変化だけで選ぶ手術ではありません。

神経損傷のリスク、腫れやダウンタイム、手術時間、麻酔の負担、将来の再手術のしやすさ。
こうした要素まで含めて考える必要があります。

私はその総合的なバランスを考え、SMAS法を基本にしています。

SMAS法にも限界はあります。
特に、ほうれい線や中顔面のこけ感のように、骨格や脂肪のボリュームロスが関係する変化は、引き上げだけで十分に整わないことがあります。
その場合は、ヒアルロン酸リフトなどを組み合わせることで、より自然な改善を目指せる場合があります。

大切なのは、流行している術式名で選ぶことではありません。
ご自身のたるみ方、骨格、脂肪のつき方、希望する変化、休める期間まで含めて、無理のない方法を選ぶことです。

フェイスリフトの術式選びで迷っている方は、一度ご相談ください。
ご自身の状態に合わせて、SMAS法がよいのか、別の選択肢を考えるべきかを含めてお話しします。

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自由診療・リスクについて

当院の施術はすべて自由診療です。

フェイスリフトには、腫れ、内出血、痛み、感染、血腫、左右差、傷跡、知覚鈍麻、顔面神経麻痺などのリスクがあります。
ダウンタイムや仕上がりには個人差があります。
適応は診察のうえで判断します。

フェイスリフト (症例No.s50005)
担当医
柴田健了
経過日数
3ヶ月
費用
407,000円~850,000円
副作用・
リスク
  • だるさ・熱感・むくみ・かゆみ・軽い発熱などの全身症状
  • 傷周囲の赤み・盛り上がり・硬さ(体質により長引くことがあります)
  • 内出血・血腫、むくみの遷延
  • 感染(化膿)により痛みや腫れが強くなる、長引く
  • 左右差や、表情の変化を「違和感」と感じること
  • 耳の形・耳たぶの位置などがわずかに変化する可能性
  • ごく稀に、アレルギー反応・ショックなど全身的な合併症
施術前
3ヶ月後

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著者 美容外科医 柴田健了 医療法人社団 フェア 理事長/日本形成外科学会 認定 形成外科専門医/日本美容外科学会(JSAS)認定 美容外科専門医

フェイスリフトを中心に、たるみ・しわ改善、二重術や目元の若返り治療など幅広いエイジングケアを専門としています。
日々の診療を通じて感じたことや、美容医療の現場での気づき、ときにはプライベートなことまで、ここで自由に綴っていきます。
より確実な提案を通じて、美容医療をもっと身近に、もっと安心できるものに──その思いを込めて発信しています。

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最終更新:2026/06/08

美容外科医 柴田健了

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